投資初心者が最初に知るべきなのは、元本割れはあり得る一方、リスクは種類ごとに分けて管理できるということです。
「投資信託なら安全なのか」「どこまで損する可能性があるのか」と迷ったら、商品選びより先に生活資金・使う時期・許容損失を決めましょう。投資では、何を買うか以上に「どのお金で、どれだけのリスクを取るか」が重要です。
FXや投資に興味がある方は、始める前に「増やすこと」だけでなく、リスクや資金管理の考え方も整理しておくことが大切です。
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投資初心者が最初に知るべき「リスク」とは?
投資における「リスク」は、単に「危険」という意味ではありません。
金融商品の価格や収益が将来どのように動くか分からない、つまり結果の振れ幅や不確実性があることを指します。
日本証券業協会は、期待する利益が大きい商品ほど振れも大きくなる傾向があるため、リターンだけでなく「どのような仕組みで、最大どの程度の損失が生じ得るのか」を理解することが重要だと説明しています。
金融庁も、株式や投資信託などでは預貯金より高いリターンを期待できる一方、元本割れのおそれがあると案内しています。
ここで重要なのは、
「リスクが高い=必ず損をする」でも、「分散すれば損をしない」でもない
という点です。
投資初心者ほど、「安全な商品を探せばいい」と考えがちです。
しかし、同じ金融商品を買っても、その人の家計や運用目的によってリスクの重さは変わります。
例えば100万円を投資し、一時的に80万円まで下落したとしましょう。
30年後の老後資金として運用し、生活費とは完全に分けている人なら、20万円の評価損が出ても保有を続けられるかもしれません。
一方、その100万円が半年後の引っ越し費用や教育費なら、20万円の下落は生活計画そのものに影響します。
つまり、投資リスクは金融商品の値動きだけを見ても判断できません。
「商品×投資額×運用期間×家計」で考える必要があります。
私は、この4つをセットで見ることが、投資初心者のリスク管理で最も重要な出発点だと考えています。
投資初心者が知っておきたい7つのリスクとは?
投資で資産が減る理由は「株価が下がった」だけではありません。
株式・債券・投資信託などを購入するなら、少なくとも次の7つを区別して考えておくと、何を確認すればよいのか整理しやすくなります。
| リスク | 何が起こる? | 初心者が確認したいこと |
|---|---|---|
| 価格変動リスク | 株式や債券などの市場価格が上下する | 投資対象・値動き・運用期間 |
| 為替変動リスク | 円高・円安で円換算した価値が変わる | 投資通貨・為替ヘッジの有無 |
| 金利変動リスク | 金利の変化で債券などの価格が動く | 債券比率・残存期間など |
| カントリーリスク | 政治・経済・規制・紛争などが資産価格へ影響する | 特定国や地域への集中 |
| 信用リスク | 企業・国などの信用力悪化で損失が発生する | 発行体と集中度 |
| 流動性リスク | 希望する時期や価格で売却できない | 換金条件・市場規模 |
| 繰上償還リスク | 投資信託の運用が予定より早く終了する | 信託期間・償還条件・純資産総額 |
重要なのは、7種類の用語を丸暗記することではありません。
リスクによって確認すべき場所と対策が違うことを理解してください。
1.価格変動リスク|買った価格より下がる可能性
最もイメージしやすいのが価格変動リスクです。
株式や債券、REITなどの市場価格が下落すれば、それらを保有する投資家の資産価値も下がります。それらを組み入れた投資信託の基準価額にも影響します。
例えば100万円分購入した金融商品の価値が20%下落すれば、単純化すると評価額は80万円です。
重要なのは、20万円の評価損が発生することだけではありません。
そのとき売らずにいられる資金なのかが問題です。
金融庁は、株式や投資信託などの運用商品には元本割れのおそれがあると明示しています。 金融庁
投資信託は複数の資産へ分散しやすい仕組みですが、「投資信託」という名称そのものが元本保証を意味するわけではありません。
数か月後に必要なお金を価格変動の大きな商品へ投資してしまえば、相場が下落したときに回復を待てず、損失を確定して売却せざるを得ない可能性があります。
だから価格変動リスクを見るときは、「何%下がる可能性があるか」だけでなく、その下落を待てる時間があるかまで考える必要があります。
2.為替変動リスク|海外投資は円高・円安でも価値が動く
米国株や外国債券など海外資産へ投資すると、投資対象自体の価格だけでなく為替の影響も受けます。
一般に外貨建て資産を円換算する場合、ほかの条件が同じなら円安は円換算価値を押し上げる方向、円高は押し下げる方向へ作用します。
例えば、1ドル150円のときに1万ドルの外貨資産があれば、単純な円換算額は150万円です。
その資産価格が変わらないまま1ドル120円まで円高になれば、円換算額は120万円になります。
反対に1ドル170円まで円安になれば170万円です。
実際の金融商品では手数料や税金、資産価格そのものの変動などもあるため、この計算だけで損益が決まるわけではありません。
それでも初心者が覚えておきたいのは、海外資産には「株価が上がったか」以外の変動要因があることです。
特に外国株式や外国債券を組み入れた投資信託では、交付目論見書などで投資対象国・通貨・為替ヘッジの有無を確認しましょう。
3.金利変動リスク|債券も価格が動く
「株は値動きがあるが、債券なら価格は動かない」と考えるのも危険です。
一般に、市場金利が上昇すると既に発行されている固定利率の債券価格には下落圧力がかかり、金利が低下すると価格には上昇圧力がかかります。
例えば市場金利が大きく上昇すれば、以前の低い金利条件で発行された債券の魅力は相対的に低下します。
2022年の米国では金利環境が急速に変化しました。
米連邦準備制度理事会(FRB)は2022年3月にフェデラルファンド金利の誘導目標を0.25~0.50%へ引き上げ、その後も利上げを進めました。2022年12月には4.25~4.50%となっています。
ここから学ぶべきなのは、中央銀行の政策を完璧に予測することではありません。
株価だけを見ていても、保有資産全体のリスクは把握できないということです。
債券や債券型投資信託を選ぶ場合も、「債券だから安全」と決めつけず、金利変化によって価格が動く可能性を確認する必要があります。
4.カントリーリスク|国や地域固有の問題も投資へ影響する
特定の国や地域へ投資している場合、その国の金融政策・財政・政治・規制・紛争などが金融市場へ大きく影響することがあります。
これがカントリーリスクです。
過去のギリシャ危機では、2009年の財政赤字や公的債務の大きさが深刻な問題となりました。
IMFの後年の検証では、2009年末の公的債務はGDP比129%、一般政府財政赤字はGDP比15.6%とされています。
トルコでも、金融政策が通貨へ強い影響を与えた例があります。
IMFによると、トルコ中央銀行は高インフレ下だった2021年9月から12月に政策金利を19%から14%へ引き下げました。IMFは、その金融緩和後にリラへの強い下落圧力が生じ、数週間で対ドル価値がおよそ半分になったと説明しています。
ここで重要なのは、特定国を「危険」と決めつけることではありません。
投資初心者が確認すべきなのは、自分の資産が一つの国や地域の事情へどれだけ依存しているかです。
世界中へ分散した商品と、一つの新興国だけに集中する商品では、同じ「投資信託」でも受けるカントリーリスクは異なります。
商品名より中身を見る必要がある理由の一つです。
5.信用リスク|高い利回りには相応の理由がある
信用リスクとは、企業や国などが約束された支払いを行えなくなったり、信用力の悪化によって保有資産の価値が低下したりする可能性です。
企業が資金繰りに行き詰まれば、株価が急落することがあります。
債券でも発行体の財務状況が悪化すれば、市場価格が低下したり、最悪の場合には利子や元本が予定どおり支払われなかったりする可能性があります。
そこで注意したいのが「高利回り」です。
利回りが高いだけで「お得な商品」と判断してはいけません。
日本証券業協会も、期待利益だけを見るのではなく、どのような仕組みでどの程度の損失が発生し得るのかまで理解することが重要だとしています。理解できない商品については購入を控えるよう案内しています。
初心者なら、
「何%もらえるか」より先に「なぜその利回りなのか」
を確認してください。
自分で説明できないなら、急いで買う必要はありません。
6.流動性リスク|「値下がりしたら売ればいい」とは限らない
流動性リスクとは、金融商品を売りたいときに希望する価格で売れなかったり、そもそも売買が難しくなったりする可能性です。
普段は取引できていても、市場の混乱時には状況が変わります。
具体例が2022年のロシア関連資産です。
三菱UFJ国際投信(現・三菱UFJアセットマネジメント)の「短期ロシアルーブル債オープン(毎月分配型)」では、2022年2月25日から設定・解約の申込受付が停止されました。後の資料では、ロシア国債などの取引が成立しない状況になったことが説明されています。
野村アセットマネジメントも2022年2月24日付の資料で、一部のロシア関連ファンドについて設定・解約の申込受付停止を公表しました。
この事例が示すのは、
「損が出たら売ればいい」という前提自体が崩れることもある
という現実です。
だからこそ、生活費や数か月後に必要なお金を投資へ回さないことが重要になります。
投資先だけを分散しても、手元資金がなければ流動性リスクへの備えは不十分です。
7.繰上償還リスク|投資信託は予定より早く終わる場合がある
投資信託には、当初予定していた信託期間より前に運用を終了する「繰上償還」が行われる場合があります。
どのような場合に繰上償還できるかは商品ごとに異なります。
例えば受益権口数や純資産総額が一定水準を下回った場合など、交付目論見書や信託約款で条件が定められている商品があります。
そのため、自分では「20年間保有しよう」と考えていても、そのファンド自体の運用が先に終わる可能性はあります。
投資信託を見るときは、直近のリターンだけでなく、
- 投資対象
- 信託期間
- 繰上償還に関する条件
- 純資産総額
- 購入・換金条件
- 費用
まで確認したいところです。
過去に何%上がったかを見る前に、どのような仕組みの商品なのかを見る。
私は、この順番を初心者ほど徹底したほうがよいと考えています。
投資初心者は始める前に何を確認すべき?5つの注意点
7つのリスクを知ったら、すぐ商品を探す必要はありません。
次に確認したいのは、自分自身が投資できる状態になっているかです。
私なら、少なくとも次の5項目を商品選びより先に確認します。
| 確認項目 | 自分への質問 |
|---|---|
| 生活資金 | 投資しなくても当面の生活を続けられる現金があるか |
| 使う時期 | このお金をいつ使う予定なのか |
| 元本割れ | 評価額が投資額を下回る可能性を理解しているか |
| 許容損失 | いくら減っても生活や判断に影響しないか |
| 商品理解 | 何に投資し、何が起こると損をするか説明できるか |
1.生活に必要なお金と投資資金を分ける
最優先するべきなのは、投資収益ではなく生活の安定です。
日本証券業協会も、投資目的やライフプランを確認し、投資は余裕資金で行うよう案内しています。
家賃、食費、税金、教育費、近いうちの大型支出、緊急時に使う資金まで投資へ回してしまうと、下落時に売却せざるを得なくなる可能性があります。
「生活費を必ず○か月分持てばよい」と一律に決めることも適切ではありません。
会社員か自営業か、扶養家族がいるか、固定費はいくらか、収入がどの程度安定しているかでも必要資金は変わるからです。
重要なのは、
相場が悪い日に、生活上の事情だけで投資商品を売らなくて済む状態を作ること
です。
これは価格変動リスクだけでなく、流動性リスクへの備えにもなります。
2.「いつ使うお金か」を決める
次に決めたいのが運用期間です。
同じ100万円でも、半年後の引っ越しに使う100万円と、30年後の老後資金として使う100万円では役割が違います。
数か月後や数年後に必要になる資金は、相場が下落した場合に回復を待てない可能性があります。
そのため、
「いくら投資できそうか」
から考えるより、
「何年間使う予定がないお金なのか」
を先に確認したほうが合理的です。
長期投資が有効とされる理由の一つも、短期的な価格変動だけで売却を迫られにくくする時間を確保できる点にあります。
ただし、長く持てば必ず利益になるわけではありません。
長期投資は損失を保証付きで消してくれる方法ではない、という点も忘れないでください。
3.元本保証と勘違いしない
株式や一般的な投資信託には元本割れのおそれがあります。金融庁も明確に注意を促しています。 金融庁+1
「投資信託ならプロが運用するから安全」
「何百社にも分散されているから損をしない」
という理解は正確ではありません。
分散投資は、一社や一つの資産などへの集中による影響を抑える方法です。
しかし、市場全体が大きく下落すれば、広く分散した投資信託でも評価額は下がります。
分散とは「損をしない仕組み」ではなく、「一つの要因に運命を集中させない仕組み」と考えるほうが分かりやすいでしょう。
4.許容できる損失を「金額」で考える
「私はリスク許容度が高い」と言っても、それだけでは投資額を決められません。
そこで、割合だけでなく金額まで落とし込んで考えます。
例えば100万円を投資するとします。
80万円まで下がったとき、20万円の評価損があっても生活費や予定していた支払いに影響せず、当初の運用方針を続けられるでしょうか。
もし20万円の下落だけで眠れなくなり、毎日価格を確認してすぐ売却したくなるなら、投資額が自分の許容範囲を超えている可能性があります。
逆算すると考えやすくなります。
「最大いくら投資できるか」ではなく、「いくら減っても生活と判断を壊さないか」から投資額を考える。
これは私が初心者に特に重視してほしい考え方です。
5.自分で説明できない商品には投資しない
投資初心者が避けたいのは、「人気だから」「SNSで見たから」「ランキング上位だから」という理由だけで金融商品を購入することです。
最低でも、購入前に次を説明できる状態を目指してください。
- 何へ投資する商品なのか
- 何が起こると値下がりするのか
- 元本割れする可能性があるか
- どのような費用がかかるか
- いつ、どのように換金できるか
- 特定の国・企業・業種へ偏っていないか
- 運用が予定より早く終わる条件があるか
日本証券業協会も、商品や取引のリスクを十分に理解してから投資し、確認しても理解できない商品については購入を控えるよう案内しています。
これは初心者にとって非常に有効なルールです。
分からない商品を買わないことは、機会を逃すことではなく、資産を守るための判断です。
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投資初心者は7つのリスクをどう抑えればいい?
投資リスクを完全にゼロにすることはできません。
金融庁も、投資には元本割れを含むさまざまなリスクがあることを前提に、長期・積立・分散投資の活用によってリスク軽減を図る考え方を示しています。
ここで初心者が注意したいのは、「長期・積立・分散」という一つの呪文ですべてのリスクが消えるわけではないことです。
例えば価格変動リスクへの対応と、流動性リスクへの対応は違います。
| リスク | 主に確認・管理したいこと |
|---|---|
| 価格変動 | 余裕資金、投資額、運用期間を調整する |
| 為替変動 | 通貨の偏りと為替ヘッジの有無を確認する |
| 金利変動 | 債券など金利の影響を受ける資産の特徴を理解する |
| カントリー | 特定国・地域への集中度を確認する |
| 信用 | 一つの発行体への集中を避け、信用力を確認する |
| 流動性 | 近く使う資金を投資せず、換金条件を確認する |
| 繰上償還 | 交付目論見書で信託期間・償還条件を確認する |
長期投資は「下がらなくする方法」ではない
長期投資だから価格下落が起こらないわけではありません。
保有期間中には大きく下落する局面もあり得ます。
長期間使わないお金で投資することによって、短期的な相場変動だけを理由に売却しなくて済む余地を持ちやすくする考え方です。
過去のデータから長期・分散投資の有効性を示した金融庁資料もありますが、過去の実績が将来の結果を保証するものではありません。
ここは数字だけを切り取らずに理解する必要があります。
積立投資は「損をしなくなる方法」ではない
積立投資では、一度にすべて購入するのではなく、一定間隔で購入を続けます。
これによって購入時期を分散し、「価格が高い一時点だけで全額購入する」といったタイミング集中を避けやすくなります。
しかし、積立をしていても投資対象そのものが値下がりすれば評価損は生じます。
積立で分散できるのは主に購入時期であり、市場リスクそのものを消すわけではありません。
この違いは重要です。
分散投資も「何を分散したか」を見る
分散投資も万能ではありません。
例えば100社へ投資していたとしても、その100社がすべて一つの国や一つの業種に集中していれば、特定の要因から大きな影響を受けることがあります。
分散を見るときは、銘柄数だけでなく、
資産・地域・業種・通貨・発行体
など、何が分散されているかを確認したほうがよいでしょう。
金融庁も資産形成の基本として、長期・積立・分散投資を紹介しています。
私はこれらを「利益を保証する方法」ではなく、一度の予想や一つの投資対象へ資産形成の成否を集中させないための設計と捉えるのが適切だと考えています。
「投資しないリスク」はどう考えればいい?
投資のリスクを知るほど、「それなら預金だけ持っていればいいのでは」と思うかもしれません。
しかし、ここでも二択にしないことが重要です。
預貯金は日々の生活費や近いうちに使うお金、緊急時の資金を置いておくために重要な役割を持ちます。
一方、長期間使わないお金では、物価上昇によって実質的な購買力が低下する可能性があります。
例えば物価が毎年2%ずつ上昇するという仮定を置き、それが10年間続いた場合を考えてみましょう。
現在100万円で買える商品やサービスの価格は、
100万円 × 1.02の10乗
で、約121.9万円になります。
別の見方をすると、10年後の100万円を2%の物価上昇率で現在価値へ割り戻せば、
100万円 ÷ 1.02の10乗
で約82万円です。
これはあくまで「毎年2%の物価上昇が10年間続く」という仮定上の計算です。
実際の物価上昇率は毎年一定ではありませんし、すべての商品価格が同じ割合で上昇するわけでもありません。
それでも、投資初心者にとって大切な視点があります。
お金には「減らさないこと」と「購買力を維持すること」という別の課題があるということです。
だからといって、「インフレがあるから現金はすべて投資すべき」という結論にもなりません。
生活資金まで価格変動する金融商品へ移せば、別のリスクが大きくなります。
ここで必要なのは、
預金か投資かを選ぶことではなく、お金の目的ごとに置き場所を変えること
です。
生活を守るお金は流動性を優先する。
近い将来に使うお金も大きな価格変動を避ける。
長期間使わない資金については、自分の目的と許容度に応じて運用を検討する。
私は、この「時間軸による資金の仕分け」が、商品ランキングを見ることより初心者には重要だと考えています。
考察|初心者の最大リスクは「値下がり」より順番を間違えること
ここからは筆者としての考察です。
投資初心者にとって特に大きなリスクは、株価が10%下がることそのものではなく、投資の準備ができていない状態で商品選びから始めてしまうことだと私は考えています。
検索すれば、「初心者向け投資信託」「おすすめ株」「高配当株」「人気ランキング」などの商品情報は大量に出てきます。
しかし、商品情報を100個知っても、来月必要なお金まで投資へ回していたらリスク管理はできていません。
反対に、投資商品について詳しくなくても、
- 生活に必要なお金を確保する
- 何のために運用するか決める
- いつ使うか決める
- いくら減ると困るか考える
- その範囲から投資額を決める
- 最後に商品を比較する
という順番なら、大きな遠回りを減らせます。
私はこれを、
生活資金 → 目的 → 時間 → 許容損失 → 投資額 → 商品
という順番で整理しています。
商品を最後に置くことがポイントです。
例えば「30年後の老後資金を作りたい人」と、「2年後の住宅購入資金を確保したい人」では、同じ100万円でも適切な置き場所は違います。
さらに、同じ30年後の資金でも、100万円が80万円になったときに問題なく生活できる人と、その20万円がなくなるだけで家計が苦しくなる人では投資できる金額も違います。
つまり、リスク許容度は年齢だけでは決まりません。
収入、支出、資産、家族構成、雇用の安定性、運用期間、投資経験、そして値下がりしたときの心理的な反応まで関係します。
ここで、もう一つ重要な視点があります。
「リスク許容度」と「リスクを取れる能力」は同じではありません。
本人が「30%下がっても平気」と思っていても、半年後にそのお金が必要なら、家計としては30%のリスクを取れる状態ではありません。
反対に、十分な現金があり30年以上使わない資金だったとしても、10%の下落で不安になって売却してしまうなら、心理面では大きな値動きを受け入れにくい状態です。
つまり初心者は、
家計として取れるリスクと、心理的に耐えられるリスクの小さいほうに合わせる
という考え方を持つと、投資額を決めやすくなります。
これは「年齢が若いから株式比率を高くしてもよい」といった単純な分類だけでは拾えない部分です。
さらに、7つのリスクはそれぞれ管理方法が異なります。
価格変動が問題なら、生活資金と投資資金を分ける。
一社の信用リスクが問題なら、発行体への集中を確認する。
特定国のカントリーリスクが問題なら、地域構成を見る。
為替変動が気になるなら、投資通貨や為替ヘッジを見る。
流動性が必要なら、換金条件と資金の使用時期を見る。
繰上償還が困るなら、交付目論見書の条件を見る。
このように、
「投資は怖い」を「何が起きるのが困るのか」に分解する
だけで、漠然とした不安を具体的な確認作業へ変えられます。
私はここに、投資初心者がリスクを学ぶ最大の意味があると考えています。
未来を正確に予測することが目的ではありません。
相場の暴落も、為替も、金利も、国際情勢も、完全に当て続けることはできません。
それなら最初から、
予想を外しても生活が崩れない設計にしておく。
こちらのほうが再現性があります。
少額から始めることにも意味があります。
実際に評価額が下がると、「10%くらいなら平気だと思っていたのに毎日価格を確認してしまう」という自分の反応が分かることがあります。
逆に、想像していたより落ち着いて保有できる人もいるでしょう。
投資経験とは、銘柄選びが上手になることだけではありません。
自分がどこまでの値動きを受け入れられる人間なのかを知ることも、重要な経験です。
そして初心者ほど、最初から最大額を投資する必要はありません。
知識が増え、自分の家計と心理的な許容範囲が分かってから調整しても遅くありません。
遠回りを減らしたいなら、「一番儲かりそうな商品」を最初に探すのではなく、
自分が取ってはいけないリスクを先に決め、その残りから取ってよいリスクを選ぶ。
この順序が、投資を単なる商品選びから資産設計へ変える分岐点だと私は考えています。
まとめ|投資初心者は7つのリスクを知ってから商品を選ぶ
投資初心者が知っておきたいのは、価格変動・為替変動・金利変動・カントリー・信用・流動性・繰上償還という7つのリスクです。
株式や投資信託などには元本割れのおそれがあり、金融庁もその前提で長期・積立・分散投資を活用する考え方を示しています。
ただし、長期・積立・分散を行えば損失がなくなるわけではありません。
長期は時間、積立は購入時期、分散は投資対象などの集中を抑えるための考え方であり、それぞれカバーできるリスクが異なります。
投資を始める前には、
生活資金 → 投資目的 → 使う時期 → 許容損失 → 投資額 → 商品
の順番で考えてください。
日本証券業協会も、投資目的やライフプランを確認し、余裕資金で投資し、商品のリスクを十分理解するよう案内しています。理解できない商品については購入を控えるという姿勢も明確です。
投資初心者が最初に探すべきなのは、「最も増えそうな商品」ではありません。
自分が取ってはいけないリスクを先に決めることです。
その土台を作ってから商品を選べば、相場が予想外に動いたときにも、生活と資産形成の目的を切り離して判断しやすくなります。
よくある質問
投資初心者はどのくらいの損失を想定すべきですか?
「10%までなら安全」などの一律の正解はありません。
株式、債券、投資信託など商品によって値動きは異なり、同じ損失率でも家計に与える影響は人によって違うからです。
まず「この金額が一時的に減っても生活や予定している支払いに影響しないか」を考えてください。
さらに、下落時に慌てて売却しないで済むかという心理面も含めて投資額を決めることが重要です。
投資信託なら初心者でも安全ですか?
投資信託だから安全、あるいは元本保証というわけではありません。
投資信託は複数の資産や銘柄へ分散しやすい一方、投資対象の価格が下落すれば基準価額も下がる可能性があります。金融庁も株式や投資信託などには元本割れのおそれがあると説明しています。
購入前には、交付目論見書などで投資対象・地域・通貨・費用・換金条件・主なリスクを確認してください。
投資初心者は何から始めればいいですか?
最初から株や投資信託を選ぶ必要はありません。
まず生活に必要な現金を分け、投資目的、使う時期、許容できる損失を決めます。その範囲から投資額を考え、最後に自分で仕組みを説明できる商品を比較してください。
日本証券業協会も、投資目的やライフプランを確認したうえで余裕資金を使い、商品のリスクを理解して投資するよう案内しています。
投資は「何を買うか」から始めるより、「どのお金なら投資してよいか」を決めるところから始めるほうが、初心者には合理的です。
最短資産設計ライター・神崎レン
投資で大切なのは、すぐに増やすことではありません。
自分の資金、許容できるリスク、将来の目標に合わせて、無理のない形で学び始めることです。FXを含む投資や副業の選択肢を整理したい方は、ゼロアカのLINEから確認してください。



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