投資初心者が元本割れに備えるなら、生活に必要なお金を投資から外し、長期・積立・分散を基本に「下がっても困らない設計」を先に作ることが重要です。
元本割れは株式や投資信託などでは避けきれません。だからこそ、「損をゼロにする方法」を探すより、起こる理由と対処法を理解しておくほうが資産形成では実践的です。
FXや投資に興味がある方は、始める前に「増やすこと」だけでなく、リスクや資金管理の考え方も整理しておくことが大切です。
ゼロアカのLINE無料登録はこちら
投資初心者が知っておきたい元本割れとは?
元本割れとは、投資した金額よりも金融商品の現在価値や売却額が少なくなっている状態です。
たとえば100万円で購入した金融商品の価値が90万円まで下がれば、購入額に対して10万円の元本割れが起きています。
株式なら、1株1万円の株を100株購入すると投資額は100万円です。その後、株価が9,000円まで下がれば時価は90万円となります。
ここで初心者が区別したいのが、含み損と確定損失です。
保有中の金融商品が値下がりしているだけなら、一般には含み損と呼ばれます。売却せず、その後価格が回復すれば含み損が縮小・解消する可能性もあります。
一方、値下がりした状態で売却すると、その時点で損失が確定します。
ただし、「売らなければ損ではない」と考えるのも危険です。
特に個別株では、企業の業績悪化や財務悪化などによって、購入時に期待していた成長シナリオそのものが崩れることがあります。
つまり見るべきなのは、含み損の金額だけではありません。
なぜ下がったのか。購入した理由は今も成立しているのか。
この2点を切り分けることが、元本割れしたときの基本です。
元本保証と元本割れはどう違う?
株式や一般的な投資信託には、基本的に元本保証はありません。
ここでいう元本保証とは、契約上の一定条件を満たした場合に元本が保全される仕組みを指します。「元本確保型」など似た表現の商品もあるため、商品説明では保証主体や条件まで確認する必要があります。
一方、銀行預金には預金保険制度があります。
金融庁の「預金保険制度」の案内では、利息の付く普通預金や定期預金などの一般預金等は、1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までとその利息等が保護対象です。
また、無利息・要求払い・決済サービスを提供できるという3要件を満たす決済用預金は全額保護されます。
預金と投資は、同じ「お金の置き場所」でも役割が違います。
近い将来に必要なお金を守るなら預金が使いやすく、長期間使わない資金について価格変動を受け入れながら成長を狙うのが投資です。
初心者ほど、この役割分担から考えると迷いにくくなります。
なぜ投資では元本割れが起こる?
投資で元本割れが起こるのは、金融商品の価値が企業業績、景気、金利、為替、信用状態などによって変動するからです。
代表的なリスクには次があります。
- 株式や債券などの価格が動く価格変動リスク
- 企業や発行体の経営悪化・破綻に関係する信用リスク
- 外国資産を円換算した価値が変わる為替変動リスク
- 金利変動が債券価格などに影響する金利変動リスク
- 国や地域の政治・経済情勢が影響するカントリーリスク
- 売りたいときに十分な価格や数量で売れない流動性リスク
株式では、企業業績の悪化だけでなく、市場全体の下落でも株価が購入価格を下回ります。
投資信託も、組み入れている株式や債券などの価格が下がれば基準価額が下落します。
ETFは「上場投資信託」であり、取引所で市場価格が動くため元本割れする可能性があります。
社債も安全とは限りません。発行企業の信用状態が悪化すれば元本や利息の支払いに影響する可能性があり、満期前に売却すれば市場価格の影響も受けます。
つまり、「元本割れするか・しないか」だけでなく、「何が起きると損失が発生する商品なのか」を確認することが重要です。
NISAでも元本割れは起こる
投資初心者が誤解しやすいのがNISAです。
NISAは元本を保証する制度ではありません。
金融庁のNISA特設ウェブサイトによると、2024年からのNISAでは、18歳以上について、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円で、併用すると年間360万円まで投資できます。
非課税保有限度額は合計1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円が上限です。非課税保有期間は無期限です。
制度として税制面のメリットはありますが、NISA口座で買った株式や投資信託の価格下落を防いでくれるわけではありません。
100万円で購入した投資信託が80万円になれば、NISA口座でも20万円の元本割れです。
さらにNISA口座で生じた損失は、課税口座の利益との損益通算や損失の繰越控除には利用できません。
NISAは「損をしない仕組み」ではなく、「対象となる利益を非課税にできる資産形成制度」と理解するのが正確です。
なお、金融庁は2026年度税制改正に関連してNISA制度の拡充を案内しており、2027年以降の制度変更も示されています。制度は改正される可能性があるため、利用時点の内容は金融庁などの最新情報を確認してください。
元本割れはどこまで怖がるべき?
元本割れを怖いと感じること自体は自然です。
野村アセットマネジメントが2024年4月18日に公表した「投資信託に関する意識調査2024」では、日本の投資家人口は推計3,976万人、投資家比率は38%とされています。
同社が2023年7月6日に公表した「金融教育に関する意識調査2023」をもとにした解説では、非投資者が投資を始める条件として「絶対に損をしなければ」が29%で最も高く、「給料・所得が増えたら」が24%と続きました。
それだけ「損をしたくない」という心理は強いということです。
しかし、資産形成ではもう一つのリスクも考える必要があります。
それが現金の購買力が下がるリスクです。
物価が上昇しても、銀行口座の100万円が突然90万円になるわけではありません。
ただし、以前100万円で買えた商品やサービスに110万円必要になれば、100万円という数字が変わらなくても実質的に買える量は減っています。
ここで大切なのは、「預金は危険だから投資すべき」という話ではありません。
生活費や数年以内に使うお金まで投資へ回せば、今度は価格下落時に必要資金が足りなくなるリスクがあります。
預金には預金の役割、投資には投資の役割があります。
この2つを競わせるのではなく、使う時期によって分けることが重要です。
投資は、焦って始めるほど判断を誤りやすくなります。自分に合う資産形成の考え方を、無料で確認してから進めてください。
無料で資産形成の選択肢を確認する
元本割れに備える5つの方法とは?
投資初心者が元本割れに備える方法は、次の5つに整理できます。
①生活防衛資金を残す、②近く使う資金を投資しない、③長期・積立・分散を使う、④下落時の判断基準を決める、⑤確率だけで商品を選ばない。
| 対策 | 初心者が決めること | 主な目的 |
|---|---|---|
| 生活防衛資金 | 投資しない現金を確保する | 下落時の強制売却を避ける |
| 資金の期限 | 近く使うお金を投資から外す | 必要時期と相場下落の衝突を避ける |
| 長期・積立・分散 | 時間・購入時期・投資対象を分ける | 特定の時期や資産への集中を抑える |
| 売却ルール | 何が起きたら見直すか決める | 感情的な売買を減らす |
| データ確認 | 確率の前提条件を見る | 過去データの誤読を避ける |
1.生活防衛資金を先に確保する
投資初心者が最初に決めるべきなのは、買う銘柄ではありません。
投資しない現金はいくら必要かです。
生活防衛資金については、生活費の3~6カ月分程度を一つの目安として紹介する金融機関や初心者向け解説が多くあります。
毎月の必要生活費が20万円なら、60万~120万円です。
ただし、この「3~6カ月」を全員に当てはめる必要はありません。
私は、生活防衛資金は次の条件で調整するのが現実的だと考えています。
- 収入が安定した会社員か、収入変動の大きい自営業・フリーランスか
- 共働きか、一人の収入への依存度が高いか
- 扶養家族がいるか
- 住宅ローンや家賃など固定費が大きいか
- すぐ現金化できる資産がほかにあるか
たとえば収入が不安定で扶養家族もいるなら、3カ月より6カ月、場合によってはそれ以上を確保する判断もあり得ます。
反対に、共働きで固定費が低く、収入源も安定しているなら必要額を別途計算できます。
重要なのは「3~6カ月」という数字そのものではありません。
相場が下落しても、生活費のために金融商品を売らずに済む現金を残すことです。
これが生活防衛資金の本当の役割です。
2.近いうちに使うお金は投資しない
次に決めるのは、お金を使う時期です。
三菱UFJ eスマート証券が2024年4月16日に公開した初心者向け記事「投資をする目標、ありますか?」でも、3年後など比較的近い時期に必要な資金を値動きの大きい株式へ投資すると、必要時に資金を用意できなくなる可能性があると説明しています。
住宅購入の頭金、教育費、車の購入費など、数年以内に必要になることが分かっている資金は注意が必要です。
必要になる直前に株価が30%下落しても、「10年後まで回復を待つ」という選択はできません。
逆に、20年以上先まで使わない老後資金であれば、短期資金より長い運用期間を取れます。
ここで初心者が覚えておきたい順番は明確です。
商品を選ぶ前に「いつ使うお金か」を決める。
期間を決めると、許容できる価格変動も考えやすくなります。
3.長期・積立・分散で集中リスクを抑える
長期・積立・分散は、元本割れをなくす方法ではありません。
特定の購入時期や一つの投資対象に結果が集中するリスクを抑えるための方法です。
金融庁の「長期投資の効果について学ぼう!」では、1985年以降の各年から国内外の株式・債券へ毎月同額ずつ積立・分散投資したケースを比較しています。
5年間保有したケースでは元本割れとなる結果も存在しました。
一方、20年間保有したケースでは、同資料の試算範囲では元本割れのケースが見られず、運用成果は年率2~8%の範囲に収まっています。
ただし、金融庁自身も、これは過去実績をもとにした算出結果であり、将来の投資成果を予測・保証するものではないと明記しています。
ここを「20年持てば絶対に損をしない」と読むのは誤りです。
初心者がこのデータから学ぶべきなのは、長い運用期間を取ることで、投資結果が特定の短い売買時期に左右される度合いを抑えやすくなるという点です。
積立投資にも同じ注意が必要です。
一定額を定期的に買えば、高値では少ない数量、安値では多い数量を買うことになります。
金融庁のNISA資料でも、このような積立による購入時期の分散が紹介されています。
しかし投資対象そのものが長期間下落すれば、積立でも元本割れします。
分散投資も万能ではありません。
一つの企業だけではなく複数企業へ、国内だけではなく海外へ、株式だけではなく異なる値動きを持つ資産へ分散すれば、一つの失敗が資産全体へ与える影響を抑えられる可能性があります。
ただし金融危機のように、多くの資産が同時に下落する局面もあります。
長期・積立・分散は「安全にする魔法」ではなく、「一つの予想に賭けすぎない設計」です。
4.元本割れしたときの判断基準を先に決める
元本割れしてから売却ルールを考えると、感情的になりやすくなります。
100万円が80万円になった画面を見ながら、「今後どうするか」を冷静に考えるのは簡単ではありません。
そこで、買う前に少なくとも次を決めておきます。
- 何のために投資するのか
- 何年間保有する前提か
- どのような変化が起きたら売却を検討するのか
- どの程度の下落でも続けられる投資額か
ここで特に重要なのが、市場全体の下落と、投資先固有の問題を分けることです。
たとえば広く分散された株式インデックス型の投資信託が、市場全体の急落によって20%下がったとします。
長期積立を目的としており、投資対象や資金計画に変更がなければ、一時的な下落だけで投資方針を変える必要がないケースもあります。
一方、個別株では事情が異なります。
購入理由が「売上と利益が継続的に伸びる」「主力事業に競争力がある」といった投資仮説だったにもかかわらず、その前提が崩れたなら、価格が戻るまで保有することが合理的とは限りません。
私なら、個別株については次のように分けて考えます。
市場全体が下がっただけなのか。企業固有の業績・財務・競争力に問題が生じたのか。
前者なら価格下落そのものが売却理由になるとは限りません。
後者なら「含み損だから売りたくない」という感情より、購入時の前提が維持されているかを優先して確認します。
これは、インデックス投資と個別株投資を同じ下落率だけで判断しないための重要な線引きです。
5.「元本割れする確率」だけで商品を選ばない
初心者が元本割れを調べると、「何年間なら元本割れしにくいか」「元本割れ確率は何%か」という数字が気になります。
しかし、その数字だけで投資判断をするのは危険です。
投資結果は、
- 投資対象
- 投資開始時期
- 保有期間
- 一括投資か積立か
- 資産配分
- 手数料
- 為替
- 売却時期
などによって変わります。
「20年間では元本割れしなかった」というデータがあったとしても、何に、いつから、どの方法で投資したシミュレーションなのかを見なければ意味が変わります。
金融庁の過去データも、「20年なら損失ゼロ」と保証しているわけではありません。
私は、投資データを見るときは数字より先に条件を見ることを勧めます。
「何%だったか」ではなく、「何を、どの期間、どんな方法で検証した数字なのか」。
この習慣があるだけで、SNSや広告で目立つ数字に振り回されにくくなります。
元本割れしたらすぐ売るべき?
元本割れしたという事実だけで、すぐ売るべきとは限りません。
判断材料は「何%下がったか」より、購入時の前提が崩れたかどうかです。
長期の資産形成を目的として広く分散された投資信託を積み立てていて、市場全体の下落で評価額が下がったのであれば、元本割れだけを理由に積立計画を変更しない判断もあります。
一方、個別株で企業固有の問題が発生した場合は別です。
業績の継続的な悪化、財務状態の変化、競争環境の悪化などによって、「なぜこの企業へ投資したのか」という根拠が失われたなら見直す必要があります。
ここで役立つのが、リスク許容度とリスク容量を分ける考え方です。
リスク許容度は、「評価額がどれくらい下がっても心理的に耐えられるか」という感情面です。
リスク容量は、「実際にどれだけ損失が出ても生活や将来設計が壊れないか」という家計面です。
たとえば本人は「30%下がっても平気」と思っていても、2年後に住宅資金が必要なら家計として30%の下落を受け入れられないかもしれません。
逆に、20年以上使わない余裕資金で、十分な生活防衛資金も確保しているなら、短期的な下落を受け止められる余地は大きくなります。
投資初心者は「自分は怖がりかどうか」だけで投資額を決めるのではなく、家計として損失を受け止められる金額かまで確認する必要があります。
【私見】元本割れより先に「投資してはいけないお金」を決める
私見ですが、投資初心者が本当に避けるべきなのは、元本割れそのものではありません。
元本割れした瞬間に生活や人生設計が崩れる金額を投資することです。
市場価格はコントロールできません。
明日の株価も、半年後の為替も正確には予測できません。
しかし、自分が投資へ回す金額は決められます。
生活防衛資金を残すこともできます。
数年以内に使う資金を別にしておくこともできます。
理解できない商品を買わないこともできます。
だから私は、初心者ほど「何を買うか」より先に、次のような投資しないルールを決めるべきだと考えています。
- 日常生活に必要なお金は投資しない
- 近いうちに使う予定のお金は値動きの大きい資産へ入れない
- 借入金で無理な投資をしない
- 仕組みや損失条件を説明できない商品は買わない
- SNSで話題という理由だけで資金を集中させない
この線を引いたあと、残った余裕資金で投資方法を考える。
この順番なら、相場を完璧に予測できなくても資産形成を続けやすくなります。
「元本を守る」と「購買力を守る」は別
もう一つ重要なのが、元本という数字と、お金の実質価値を分けることです。
預金に100万円を置いておけば、市場価格の変動で90万円になることは通常ありません。
しかし物価が上昇すれば、同じ100万円で買えるモノやサービスは減る可能性があります。
一方、投資には元本割れの可能性がありますが、企業の利益成長や経済成長などを通じて資産価値が増える可能性もあります。
だから「現金か投資か」という二者択一にする必要はありません。
守るお金は現金、長期間使わないお金の一部はリスクを理解して運用する。
この役割分担のほうが、初心者には再現しやすい資産設計です。
私は、元本割れ対策の核心は銘柄選びではなく、ここにあると考えています。
投資初心者と元本割れについてのまとめ
元本割れとは、投資した金額よりも金融商品の価値や売却額が下がることです。
株式、投資信託、ETFなど価格が変動する商品では元本割れの可能性があり、NISAを利用しても価格変動リスクがなくなるわけではありません。
投資初心者が備えるなら、まず生活防衛資金を確保し、近い将来に使う資金を投資から外します。
そのうえで、長期・積立・分散によって特定の購入時期や投資先への集中を抑え、元本割れしたときは下落率だけではなく「購入した前提が崩れたか」を確認します。
金融庁が示す過去の積立・分散投資データでは、5年間より20年間のほうが運用成果の振れ幅が小さくなった例があります。ただし、過去の試算は将来の元本や利益を保証するものではありません。
投資で目指すべきなのは、元本割れを一度も経験しないことではなく、元本割れしても生活と長期計画が壊れない状態を先に作ることです。
初心者ほど、「何で増やすか」の前に「どのお金を投資しないか」を決める。
この順番が、リスクと付き合いながら資産形成を続けるための土台になります。
よくある質問
投資初心者でも元本割れする可能性はありますか?
あります。
株式や投資信託など価格が変動する金融商品では、投資経験に関係なく購入価格を下回る可能性があります。
初心者が特に注意したいのは、元本割れそのものより、近く使うお金を投資したり、一つの商品へ資金を集中させたりして損失の影響を大きくすることです。
NISAなら元本割れしませんか?
いいえ。
NISAは対象となる投資利益を非課税にする制度であり、元本保証の制度ではありません。
NISA口座で購入した株式や投資信託も価格が下がれば元本割れします。また、NISAで発生した損失は課税口座の利益との損益通算などに利用できません。
20年間積立投資すれば元本割れしませんか?
必ず元本割れしないとは言えません。
金融庁が示している1985年以降の過去データを使った積立・分散投資の試算では、20年間保有したケースで元本割れが見られなかった例があります。
ただし、これは特定の資産・期間・投資方法による過去のシミュレーションです。将来も同じ結果になることを保証するものではありません。
「20年なら安全」と覚えるのではなく、長期・積立・分散は短期間や一つの購入時期へ結果が集中するリスクを抑えるための考え方と理解するのが適切です。
最短資産設計ライター・神崎レン
投資で大切なのは、すぐに増やすことではありません。
自分の資金、許容できるリスク、将来の目標に合わせて、無理のない形で学び始めることです。FXを含む投資や副業の選択肢を整理したい方は、ゼロアカのLINEから確認してください。



コメント