物販副業の確定申告は、一定の条件を満たす会社員なら年間の副業所得が20万円を超えると原則必要です。ただし、20万円以下でも申告が必要になる場合があります。
メルカリやAmazon、楽天市場などで商品を販売している場合、判断基準になるのは売上ではなく、仕入原価や必要経費を差し引いた所得です。
この記事では、2026年分の税制を中心に、確定申告が必要な金額、経費や在庫の扱い、住民税、申告手順まで、国税庁の公表資料に基づいて解説します。
物販や転売に興味がある方は、仕入れを始める前に「何を売るか」「どのくらいの資金で始めるか」を整理しておくと失敗を減らせます。
ゼロアカのLINE無料登録はこちら
物販副業の確定申告はいくらから必要?会社員の20万円ルール
本業で年末調整を受けている一般的な会社員は、給与・退職所得以外の対象所得が年間20万円を超えると、原則として所得税の確定申告が必要です。
ただし、20万円という基準は、すべての会社員や副業者に無条件で適用されるものではありません。
まずは、申告が必要になる金額と適用条件を整理しましょう。
年間所得が20万円以下・ちょうど20万円・20万円超の場合
会社員の20万円ルールでは、対象となる所得が20万円を超えるかどうかが判断基準です。
一般的なケースを整理すると、次のようになります。
- 年間所得15万円: 原則として所得税の確定申告は不要
- 年間所得20万円ちょうど: 原則として所得税の確定申告は不要
- 年間所得20万1円: 原則として所得税の確定申告が必要
- 年間所得25万円: 原則として所得税の確定申告が必要
ここでいう年間所得は、1月1日から12月31日までの所得です。
また、上記は給与を1か所から受け取り、その給与の全部が源泉徴収の対象となっているなど、一定の条件を満たした会社員を想定しています。
国税庁の「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」では、給与所得者が申告を必要とする条件が示されています。
同資料は令和8年4月1日現在の法令等に基づくもので、2026年10月13日時点で確認できる基準です。
特に注意したいのは、20万円以下なら税金の手続きを一切しなくてよいという意味ではないことです。
所得税の申告が不要でも、住民税の申告が必要になるケースがあります。
20万円の基準は売上ではなく所得
物販副業で最初に理解しておきたいのが、「売上」と「所得」の違いです。
売上とは、商品を販売して得た金額を指します。
一方、所得とは、売上から売上原価や必要経費を差し引いた金額です。
基本的な計算式は次のとおりです。
所得=売上-売上原価-その他の必要経費
例えば、年間売上50万円の会社員を考えてみましょう。
- 年間売上:50万円
- 販売した商品の仕入原価:20万円
- 送料・販売手数料など:8万円
- 年間所得:22万円
この場合、年間所得は22万円です。
ほかの条件に問題がなければ、20万円を超えるため、所得税の確定申告が必要になります。
反対に、売上が50万円でも、売上原価と必要経費の合計が35万円なら、所得は15万円です。
ほかに対象所得がなく、20万円ルールを適用できる会社員であれば、所得税の確定申告は原則不要となります。
つまり、年間売上が20万円を超えたという理由だけで、確定申告が必要になるわけではありません。
月2万円の物販収入でも確定申告は必要?
月2万円の売上を12か月続けた場合、年間売上は24万円です。
しかし、この24万円がそのまま所得になるわけではありません。
年間の売上原価と必要経費が合計8万円なら、所得は16万円です。
一方、売上原価と必要経費が合計3万円なら、所得は21万円になります。
同じ年間売上24万円でも、費用の金額によって所得税の申告要否が変わるのです。
ただし、実際の計算では販売済み商品の原価と未販売商品の在庫を区別する必要があります。
仕入れに使ったお金をすべてその年の経費として差し引く計算は、正確とは限りません。
物販以外の副業所得も合算する必要がある
20万円ルールを判断するときは、物販だけの所得を見るのでは不十分です。
例えば、次のような副業所得があったとします。
- 物販副業の所得:15万円
- ブログ運営の所得:6万円
- 合計所得:21万円
この場合、物販単独では20万円以下ですが、対象となる給与以外の所得の合計が21万円です。
したがって、一般的な20万円ルールでは所得税の確定申告が必要になります。
なお、源泉徴収ありの特定口座で申告不要を選択した株式譲渡所得など、合算対象に含まれない所得もあります。
給与を複数の勤務先から受け取る場合も判定方法が異なります。
さらに、給与収入が年間2,000万円を超える場合や、同族会社の役員が会社から一定の利子や賃貸料を受け取る場合などは、20万円以下でも別途申告義務を確認しなければなりません。
私は、物販副業を始めた会社員ほど、最初に自分が20万円ルールの対象になるかを確認すべきだと考えています。
金額だけを覚えても、適用条件を間違えれば正しい判断はできないからです。
物販副業では何が経費になる?仕入れ・送料・在庫の計算方法
物販副業の所得を正しく計算するには、商品販売に必要な費用と、年末に残った在庫を分けて管理することが重要です。
特に、商品を仕入れた金額と、その年の売上原価は必ずしも一致しません。
この違いが確定申告の必要性を左右する場合もあります。
メルカリやAmazonの物販副業で経費になるもの
物販副業では、商品を販売するために直接必要となった費用などが、税務上の要件を満たす範囲で必要経費になります。
代表的なものは次のとおりです。
- 売れた商品の仕入原価
- 商品発送にかかる送料
- ダンボールや緩衝材などの梱包資材費
- メルカリやAmazonなどの販売手数料
- 商品の仕入れに必要な交通費
- 物販業務で使用する事務用品費
- 販売促進に必要な広告宣伝費
- 業務に使用する通信費の事業使用分
ただし、これらに該当する支出でも、無条件に全額を経費にできるわけではありません。
副業との関連性、使用実態、支出の内容などを確認する必要があります。
例えば、3,000円で仕入れた商品を5,000円で販売したとしましょう。
販売に必要だった費用が次のとおりだった場合です。
- 販売価格:5,000円
- 仕入原価:3,000円
- 販売手数料:500円
- 送料:450円
- 梱包資材費:50円
利益は次のように計算できます。
5,000円-3,000円-500円-450円-50円=1,000円
販売価格は5,000円ですが、利益は1,000円です。
これは商品1点の簡略化した計算例であり、実際にはほかの共通経費なども考慮する場合があります。
また、消費税の課税事業者であるかどうかや、採用する経理方式によっても記帳方法が異なります。
そのため、販売金額だけで利益を判断しないことが大切です。
売れ残った商品の仕入代金は全額経費にならない
物販副業で特に注意したいのが、年末時点で売れ残っている商品です。
販売目的で仕入れた商品は、原則として購入した時点で全額を売上原価にできるわけではありません。
年末までに販売されなかった商品は、棚卸資産として翌年以降に繰り越します。
売上原価の基本的な計算式は次のとおりです。
売上原価=期首棚卸高+年間仕入高-期末棚卸高
例えば、年初の在庫が0円で、年間30万円の商品を仕入れたとします。
そのうち10万円分の商品が年末に売れ残っていた場合、売上原価は20万円です。
年間30万円を仕入れていても、その全額が当年の売上原価になるわけではありません。
国税庁が公表する「青色申告決算書(一般用)の書き方」などでも、期首棚卸高、仕入金額、期末棚卸高を使った売上原価の計算方法が示されています。
ただし、仕入れに付随する費用の扱いや棚卸資産の評価方法などによって、実際の計算は異なることがあります。
初心者の場合は、まず販売した商品と売れ残った商品を区別できる記録を作ることが重要です。
年末在庫によって確定申告の必要性が逆転する例
ここは、物販副業をする会社員に特に知っておいてほしいポイントです。
次の条件を考えてみましょう。
- 年間売上:50万円
- 年初在庫:0円
- 年間仕入高:30万円
- その他の必要経費:8万円
年間仕入高30万円をそのまま差し引くと、所得は12万円になります。
しかし、年末に10万円分の商品が売れ残っていた場合はどうでしょうか。
売上原価は30万円-10万円=20万円です。
したがって、年間所得は次のようになります。
50万円-20万円-8万円=22万円
最初は所得12万円に見えていたものが、正しく在庫を反映すると22万円になります。
この例では、一般的な会社員の20万円ルールによる所得税の申告要否が変わります。
つまり、物販副業の確定申告は、売上と経費を集計するだけでなく、年末在庫を確認して初めて正しく判断できるということです。
私は、これが物販初心者にとって最も見落としやすい税務上の問題の一つだと考えています。
家賃やスマートフォン代は経費にできる?
自宅で物販副業を行う場合、家賃や通信費などの一部を経費にできることがあります。
ただし、私生活にも使用している費用をすべて経費にすることはできません。
例えば、自宅の一部を商品保管スペースとして使用している場合、その利用面積や使用状況などをもとに業務使用分を区分します。
これを家事按分といいます。
スマートフォンも同様です。
商品リサーチや購入者との連絡など、副業に使用している部分について、合理的な根拠に基づいて計算する必要があります。
特に家事関連費は、所得区分や業務の実態などに応じて必要経費への算入条件が異なります。
「毎日スマートフォンを使っているから半額を経費にする」といった、根拠のない割合設定は避けましょう。
使用時間や業務内容など、説明できる記録を残しておくことをおすすめします。
メルカリで不用品を売った場合は非課税になる?
メルカリなどで商品を販売したからといって、すべての売却益が課税対象になるわけではありません。
自分や家族が通常の生活で使用していた衣類や家具などを売却した場合、その所得は原則として非課税です。
国税庁の「No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法」では、生活に通常必要な動産の譲渡による所得について、非課税の取り扱いが説明されています。
例えば、着なくなった洋服や使わなくなった家具を売却する場合です。
一方、販売する目的で商品を仕入れ、継続的に利益を得ようとする取引は、通常の不用品処分とは区別されます。
また、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個または1組の価額が30万円を超えるものは、生活用動産の非課税対象から除外されます。
ここでいう30万円は、年間売却額の合計ではなく、対象資産の1個または1組の価額に関する基準です。
重要なのは、どの販売サービスを利用したかではありません。
何を、どのような目的で、どのような取引実態で販売したかによって税務上の取り扱いが変わります。
物販副業で所得20万円以下でも申告が必要になるケースとは?
物販副業の所得が20万円以下でも、所得税以外の申告義務や、別の理由による確定申告が発生する場合があります。
特に会社員が確認したいのは、医療費控除などの申告、住民税、消費税の3つです。
医療費控除や住宅ローン控除を申告する場合
会社員でも、医療費控除を受けたり、住宅ローン控除を初めて適用したりするために確定申告することがあります。
その場合、20万円以下の副業所得も、原則として申告内容に含める必要があります。
例えば、次のような会社員を考えてみましょう。
- 本業の給与は年末調整済み
- 物販副業の年間所得:15万円
- 医療費控除を受けるために確定申告する
この場合、物販所得15万円についても、原則として申告に含めます。
国税庁の「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」の関連する質疑応答でも、この考え方が説明されています。
20万円ルールは、一定の給与所得者について確定申告を不要とする制度です。
確定申告を行う場合に、20万円以下の副業所得を自由に省略できる制度ではありません。
また、ふるさと納税のワンストップ特例を利用していても、確定申告を行う場合は特例が適用されなくなります。
そのため、申告時には対象となる寄附金も含めて手続きする必要があります。
住民税は所得20万円以下でも申告が必要?
所得税の20万円以下の申告不要制度は、住民税にはそのまま適用されません。
したがって、物販副業で課税対象となる所得が発生した場合、所得税の確定申告が不要でも、原則として市区町村への住民税申告が必要になります。
例えば、年間の物販所得が12万円だったとします。
20万円ルールを適用できる会社員であれば、所得税の確定申告は原則不要です。
しかし、住民税については別途確認しなければなりません。
住民税申告の取り扱いや提出期限、提出方法は、居住地の自治体が案内しています。
所得税の確定申告を行った場合は、その申告情報が自治体に送られるため、通常は同じ所得について改めて住民税申告を行う必要はありません。
また、非課税所得のみの場合など、申告が不要になるケースもあります。
自治体によっては、申告の要否について独自の案内や確認事項が設けられています。
そのため、年間所得が20万円以下であっても、居住地の市区町村の公式案内を確認しましょう。
住民税から勤務先に副業が知られることはある?
会社員の中には、住民税を通じて勤務先に副業が知られるのではないかと心配する人もいるでしょう。
住民税には、給与から天引きされる特別徴収と、自分で納付する普通徴収があります。
物販など給与以外の所得に対する住民税については、普通徴収を選択できる場合があります。
ただし、すべての自治体で希望どおりに取り扱われるとは限りません。
自治体の運用や所得の種類によっては、普通徴収の選択が制限される場合があります。
また、副業としてアルバイトなどの給与を受け取っている場合は、物販による所得とは取り扱いが異なります。
普通徴収を選択すれば勤務先に副業が知られない、と保証することはできません。
税務手続きは正しく行い、本業の勤務先に副業の届出規定がある場合は、その就業規則も確認しておくことが大切です。
インボイス登録をしている場合は消費税にも注意
物販副業では、所得税とは別に消費税の申告が必要になる場合があります。
代表的なのが、適格請求書発行事業者、いわゆるインボイス発行事業者として登録しているケースです。
国税庁の「確定申告(インボイス)」では、インボイス発行事業者として登録している場合、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、原則として消費税の申告が必要になることが説明されています。
例えば、物販副業の所得が年間15万円だったとします。
所得税の20万円ルールでは申告不要となる会社員でも、インボイス登録によって消費税の課税事業者になっていれば、消費税の申告が必要になる場合があります。
また、インボイス登録をしていなくても、基準期間や特定期間の課税売上高などによって消費税の課税事業者になることがあります。
消費税の申告義務と所得税の20万円ルールは、別々に判断する必要があるのです。
なお、個人事業者の消費税の申告・納付期限は、原則として翌年3月31日です。
インボイス登録の有無だけでなく、課税事業者に該当するか、利用できる経過措置があるかも確認しましょう。
最初の売上を作りたい方は、感覚で仕入れる前に、物販の基本と自分に合う進め方を確認しておくことが大切です。
無料で物販の選択肢を確認する
物販副業の確定申告はどうやる?所得区分・必要書類・申告手順
物販副業の確定申告は、売上と経費を集計し、所得区分を判断したうえで申告書を作成する流れです。
2026年分の所得税について、国税庁が案内している確定申告の受付期間は2027年2月16日から3月15日までです。
申告が必要だと分かったら、期限直前ではなく、日頃の取引記録から準備を進めましょう。
手順1:1年間の売上と経費を集計する
まず、1月1日から12月31日までの物販取引を整理します。
メルカリ、Amazon、楽天市場など、複数のサービスを利用している場合は、それぞれの取引履歴を確認します。
記録しておきたい内容は次のとおりです。
- 商品の販売日と売上金額
- 商品ごとの仕入原価
- 販売手数料
- 送料や梱包資材費
- 返品やキャンセルの状況
- 年末時点で残っている在庫の数量と金額
特に注意したいのが、販売プラットフォームから銀行口座へ振り込まれた金額です。
振込金額は、すでに販売手数料などが差し引かれている場合があります。
そのため、振込金額だけを売上として記録すると、実際の取引内容を正しく反映できない可能性があります。
販売金額と販売手数料を分けて記録しましょう。
また、所得計算では、入金日だけでなく、商品を引き渡して収入を得る権利が確定した時期などを基準に判断することが原則です。
年末の販売と翌年の入金が重なる場合は、計上する年を間違えないよう注意してください。
手順2:申告に必要な資料を準備する
会社員が物販副業の確定申告を行う場合は、一般的に次のような資料を用意します。
- 本業の源泉徴収票
- 物販サイトの売上履歴
- 仕入れに関する領収書や取引明細
- 送料・販売手数料などの経費資料
- 年末時点の棚卸表
- マイナンバーカードなど申告に必要な本人確認資料
- 医療費控除や寄附金控除を受ける場合の関連資料
源泉徴収票は申告内容の入力に使用しますが、原則として確定申告書への添付は不要です。
また、売上や経費の根拠資料も、すべてを申告書に添付するわけではありません。
ただし、税務上必要な期間は保存し、取引内容を説明できるようにする必要があります。
手順3:事業所得か雑所得かを判断する
物販副業の所得は、活動の実態によって事業所得または雑所得に該当することがあります。
事業所得は、社会通念上、事業と認められる活動から生じる所得です。
一方、雑所得は、ほかの所得区分に該当しない所得などを指します。
国税庁が2022年に示した「所得税基本通達の制定について」の一部改正に関する解説では、事業所得と業務に係る雑所得の区分について、社会通念による判定を原則としています。
その判断では、帳簿書類の記録・保存状況だけでなく、営利性、継続性、事業としての規模、活動実態などが重要になります。
帳簿書類を作成・保存している場合は、事業所得に区分されることが多いとされていますが、それだけで自動的に事業所得になるわけではありません。
例えば、収入金額が僅少な場合や、営利性が認められない場合などには、個別の判断が必要です。
また、年間売上300万円という数字だけで、事業所得か雑所得かが機械的に決まるものでもありません。
副業収入が少額であっても、継続性や営利性などを確認する必要があります。
逆に、年間売上が一定額を超えていても、その金額だけで事業所得と断定することはできません。
この所得区分は、青色申告の可否や赤字の取り扱いにも影響します。
判断が難しい場合は、取引記録や活動実態を整理したうえで、税務署または税理士に確認しましょう。
手順4:青色申告と白色申告の違いを確認する
物販副業が事業所得に該当する場合、青色申告を利用できる可能性があります。
青色申告は、所定の申請を行い、必要な帳簿の作成・保存などの要件を満たすことで、税制上の特典を受けられる制度です。
国税庁の「No.2072 青色申告特別控除」に基づく2026年分の所得税では、要件に応じて10万円、55万円、65万円の青色申告特別控除があります。
最大65万円の控除を受けるには、原則として複式簿記による記帳、貸借対照表と損益計算書の提出、期限内申告などの条件を満たす必要があります。
さらに、e-Taxによる電子申告または一定の電子帳簿保存などの要件が求められます。
ただし、控除額は青色申告を選択しただけで自動的に適用されるものではありません。
また、雑所得には青色申告特別控除を利用できません。
なお、令和8年度税制改正では、青色申告特別控除の見直しが行われています。
国税庁の令和8年度税制改正に関する案内では、2027年分以後、一定の要件を満たす場合の控除額が最大75万円になることなどが示されています。
2026年分の所得税と2027年分以後の所得税では、適用される控除制度を区別する必要があります。
青色申告を検討している場合は、必ず申告対象年分に対応した国税庁の情報を確認してください。
青色申告承認申請書の提出期限はいつ?
青色申告を利用する場合は、原則として事前に「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。
国税庁の「A1-8 所得税の青色申告承認申請手続」によると、提出期限は原則として青色申告をしようとする年の3月15日までです。
ただし、その年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合は、事業開始日から2か月以内となります。
例えば、2026年7月1日に事業を開始した場合、原則として2026年9月1日までに申請する必要があります。
なお、期限が土曜日、日曜日、祝日などに当たる場合は、翌開庁日が期限になります。
2026年分について、通常の3月15日は日曜日だったため、一般的な提出期限は2026年3月16日でした。
2026年10月時点ですでに副業を行っている人が、これから2026年分の青色申告を希望する場合は、事業開始時期と申請期限を確認する必要があります。
期限を過ぎてから申請すれば、その年分から自由に青色申告を利用できるわけではありません。
なお、開業届と青色申告承認申請書は別の手続きです。
開業届を提出しただけで青色申告が認められるわけではない点にも注意しましょう。
手順5:電子取引データを適切に保存する
物販副業では、ネットショップやフリマアプリを使った取引が多くなります。
そのため、電子帳簿保存法への対応も確認しておきたいところです。
国税庁の「電子取引データ保存要件チェックシート」では、電子取引に該当する例として、ECサイトで購入した商品の請求書や領収書、メールで受け取った請求書などが示されています。
所得税に関する帳簿書類の保存義務がある事業者などは、対象となる電子取引データを、原則として電子データのまま保存する必要があります。
例えば、次のような取引情報です。
- ネットショップで仕入れた商品の電子領収書
- メールで受け取ったPDF形式の請求書
- ECサイトからダウンロードした取引明細
- 電子的に送付した請求書などの取引情報
保存に当たっては、改ざん防止措置、内容を確認できる環境、検索機能など、適用される要件を満たす必要があります。
検索機能には、取引年月日、金額、取引先などによる検索が含まれますが、一定の条件を満たす場合には検索要件などが緩和される制度もあります。
例えば、要件に沿ったファイル名の設定や索引管理、事務処理規程の整備など、専用の会計システムを導入しない方法も考えられます。
ただし、すべての電子メールやWebページを保存しなければならないという意味ではありません。
保存対象は、取引に関係する請求書や領収書などに相当する情報です。
また、紙に印刷して保管するだけでは、原則として電子取引データの保存義務を満たしません。
所得区分や保存義務の有無、猶予措置の適用条件などによって必要な対応が異なるため、自分の取引に当てはまる要件を確認しましょう。
手順6:確定申告書を作成して提出する
売上、売上原価、必要経費、所得区分を整理したら、確定申告書を作成します。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従って給与所得や副業所得、各種控除などを入力できます。
マイナンバーカードなどを使い、e-Taxで電子申告する方法もあります。
また、申告内容に対応した会計ソフトを利用する方法もあります。
例えば、freee会計や弥生の会計・申告サービスなどは、取引管理や申告書類の作成を支援しています。
ただし、利用できる機能、対応する所得区分、料金体系などはサービスによって異なります。
特に雑所得として申告する場合は、希望する申告方法に対応しているか確認しましょう。
サービスの最新機能や利用料金は、各社の公式案内で確認する必要があります。
会計ソフトを利用しても、すべての経費が正しく判定されるわけではありません。
申告内容の最終確認は本人が行う必要があります。
2026年分の確定申告期限は2027年3月15日
2026年1月1日から12月31日までの所得について、所得税の確定申告期限は2027年3月15日です。
国税庁の「申告と納税」では、令和8年分の申告所得税等について、申告期限および納期限が令和9年3月15日(月)と案内されています。
確定申告書の窓口受付は、2027年2月16日(火)からです。
納付すべき所得税がある場合は、申告書を提出するだけでなく、原則として納期限までに納税する必要があります。
納付方法には、振替納税、インターネットバンキング、クレジットカード納付などがあります。
ただし、方法によって手続きや納付日、手数料などの条件が異なります。
特に振替納税を利用する場合は、振替依頼の手続きや指定された振替日を確認しましょう。
確定申告を忘れた場合はどうなる?
本来必要な確定申告を期限までに行わなかった場合、無申告加算税や延滞税が課される可能性があります。
無申告加算税は、期限内に申告すべきだった人が申告をしなかった場合などに適用されるものです。
税務調査の通知前に自主的に申告した場合や、調査通知後に申告した場合などで、取り扱いが異なります。
また、税金の納付が遅れた場合には、延滞税が発生することがあります。
さらに、売上を意図的に隠したり、架空の経費を計上したりするなど、仮装・隠蔽が認められる場合には、重加算税の対象になる可能性もあります。
所得税の無申告に対する重加算税は原則40%ですが、具体的な適用には法令上の要件があり、加重措置が適用される場合もあります。
単純な記録ミスや申告忘れが、すべて重加算税の対象になるわけではありません。
申告漏れに気づいた場合は放置せず、速やかに税務署へ相談し、必要な手続きを確認しましょう。
物販初心者が20万円ルールで見落としやすい在庫と資金繰り
物販副業の税金について、私が特に重要だと考えているのは、税務上の所得と手元に残る現金を区別することです。
物販は仕入れに資金が必要なため、利益が出ていても現金が十分に残っているとは限りません。
この違いを理解しておくことが、確定申告だけでなく、物販副業を継続するうえでも役立ちます。
税務上の所得と銀行口座の残高は一致しない
例えば、次のような物販副業を考えてみましょう。
- 年間売上:60万円
- 販売した商品の仕入原価:30万円
- 送料や販売手数料など:10万円
- 年間所得:20万円
この場合、単純計算で所得は20万円です。
しかし、年末時点でさらに15万円分の未販売商品を保有しているとしたらどうでしょうか。
その15万円分の仕入代金をすでに支払っている場合、税務上は売上原価になっていなくても、現金は支出されています。
仮に、年初在庫がなく、売上60万円を全額回収済みで、仕入れやその他の経費もすべて現金で支払済みだったとします。
借入れやほかの入出金がない前提なら、現金の増加額は次の計算になります。
60万円-30万円-15万円-10万円=5万円
税務上の所得は20万円ですが、現金の増加額は5万円です。
もちろん、実際には売掛金や買掛金、税金、借入金、私生活への資金移動なども影響します。
それでも、利益と現金の残高が同じではないことは理解できるでしょう。
私は、この違いを把握しないまま仕入れを増やすことが、物販初心者にとって大きなリスクになると考えています。
帳簿上は利益が出ていても、商品が売れるまで現金を回収できなければ、次の仕入れ資金が不足する可能性があるからです。
節税目的の大量仕入れは逆効果になることもある
年末になると、税金を減らすために商品を多めに仕入れようと考える人もいるかもしれません。
しかし、販売目的の商品は、原則として売れ残っている限り当年の売上原価にはなりません。
例えば、12月に20万円分の商品を追加で仕入れ、そのすべてが年末時点で売れ残ったとします。
この場合、原則として20万円全額をその年の売上原価にできるわけではありません。
一方で、仕入代金を支払っていれば、手元の現金は20万円減少しています。
つまり、税負担を減らすつもりで仕入れを増やしても、期待した節税効果が得られず、資金繰りだけが悪化する可能性があるのです。
私は、物販副業では「税金を減らすための支出」よりも「利益を残すための仕入れ判断」を優先すべきだと考えています。
必要のない商品を購入しても、支払ったお金がそのまま戻ってくるわけではありません。
重要なのは、税金を支払った後にどれだけ資金が残るかです。
最初に作るべきなのは複雑な会計システムではない
物販副業を始めたばかりの段階では、高額な会計ソフトや複雑な管理システムが必ずしも必要とは限りません。
まずは、自分の取引を正しく把握できる仕組みを作ることが先決です。
例えば、売上管理表と在庫管理表を分ける方法が考えられます。
売上管理表では、販売日、販売価格、販売手数料、送料などを記録します。
在庫管理表では、商品名、仕入日、仕入金額、数量、販売状況などを整理します。
さらに、月末には売上と経費を集計し、現金の増減も確認するとよいでしょう。
これにより、次の3つを区別しやすくなります。
- 税務上の所得
- 商品として残っている在庫
- 実際に使える現金
もちろん、帳簿の作成方法や保存期間については、所得区分や申告方法に応じた税務上の要件を満たす必要があります。
国税庁の「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」では、白色申告者の記帳義務や帳簿書類の保存期間などが示されています。
例えば、白色申告の事業所得に関する法定帳簿は7年間、一定の書類は5年間の保存が必要です。
また、前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える場合は、現金預金取引等関係書類について5年間の保存義務があります。
ただし、雑所得であっても、必要経費の根拠となる資料を保存しておくことは重要です。
私は、税金のために始めた記録が、物販副業そのものを改善する材料にもなると考えています。
どの商品が利益を生み、どの商品が資金を圧迫しているのかを把握できれば、仕入れの判断精度も高められるからです。
物販副業では、売上を増やす前に、利益と在庫と現金を把握する。この順番が重要です。
まとめ:物販副業の確定申告は20万円の判定と在庫管理が重要
物販副業の確定申告は、一定の条件を満たす会社員の場合、年間の副業所得が20万円を超えると原則として必要です。
ただし、判断する金額は売上ではなく、売上原価や必要経費を差し引いた所得です。
また、20万円以下でも、医療費控除などのために確定申告する場合や、住民税・消費税の申告義務がある場合には、それぞれ必要な手続きを確認しなければなりません。
特に押さえておきたいポイントは次のとおりです。
- 所得税の20万円ルールは一定の条件を満たす給与所得者に適用される
- 年間所得がちょうど20万円なら、ほかの申告義務がなければ所得税の確定申告は原則不要
- 物販以外にも対象となる副業所得があれば合算する
- 未販売の商品は原則として年末在庫となり、当年の売上原価にはならない
- 日常生活で使用していた不用品の売却と、利益目的の継続的な物販は区別する
- 住民税や消費税の申告義務は所得税とは別に確認する
- 2026年分の所得税の確定申告期限は2027年3月15日
- 必要な帳簿や取引資料を保存し、所得区分や申告方法に応じた手続きを行う
物販副業の税金は、最初からすべての制度を覚えようとすると複雑に感じるかもしれません。
しかし、売上、売上原価、必要経費、年末在庫という順番で整理すれば、自分が確認すべき金額を把握しやすくなります。
そして、所得税の20万円ルールだけに意識を向けないことも大切です。
物販では、税務上の利益が発生していても、売れ残った商品の仕入代金によって手元の現金が減少する場合があります。
私は、確定申告を単なる税金の手続きとして考えるのではなく、1年間の利益と資金の流れを見直す機会として活用することをおすすめします。
遠回りを減らすために、まずは自分の売上、経費、在庫を正確に確認するところから始めましょう。
なお、本記事は2026年10月13日時点で確認できる国税庁などの公表資料に基づく一般的な制度解説です。
税制改正や個別の取引事情によって取り扱いが変わる場合があります。
実際の申告に当たっては、対象年分の国税庁の公式案内を確認し、所得区分や必要経費などの判断が難しい場合は、税務署または税理士に相談してください。
よくある質問
物販副業で赤字になった場合、会社の給与と相殺できますか?
物販副業が雑所得に該当する場合、その赤字を給与所得から差し引くことは原則としてできません。
一方、事業所得に該当する場合は、損益通算の対象になる可能性があります。
ただし、事業所得に該当するかどうかは、営利性や継続性、事業規模などの実態によって判断されます。
物販をしているという理由だけで、給与と赤字を相殺できるわけではありません。
物販副業を始めたら開業届は必ず必要ですか?
物販副業を始めたすべての会社員に、開業届の提出義務が発生するわけではありません。
事業として開始した場合には、開業届の提出について確認する必要があります。
2026年に開業した個人事業者の開業届の提出期限は、原則としてその年分の所得税の確定申告期限までです。
一方、青色申告を希望する場合の承認申請書は、開業届とは別に提出期限が設けられています。
開業届を出しただけで青色申告が利用できるわけではありません。
物販副業で年間売上100万円でも確定申告が不要になることはありますか?
一定の条件を満たす会社員であれば、所得税の確定申告が不要になる場合があります。
例えば、年間売上100万円に対して売上原価と必要経費の合計が85万円なら、年間所得は15万円です。
ほかに対象となる所得がなく、20万円ルールを適用できる場合、所得税の確定申告は原則不要です。
ただし、住民税の申告や消費税の申告義務は別に確認する必要があります。
物販副業で使ったクレジットカードの明細だけで経費を証明できますか?
クレジットカードの利用明細は、支払いの確認資料として役立ちます。
しかし、明細だけでは購入した商品の詳細や業務との関連性が分からない場合があります。
そのため、領収書、請求書、購入履歴などを併せて保存しておくことが重要です。
電子取引に該当する場合は、電子帳簿保存法に基づく保存方法にも注意しましょう。
物販副業の確定申告は税理士に依頼しなければできませんか?
税理士への依頼は必須ではありません。
国税庁の確定申告書等作成コーナーなどを利用して、自分で申告することもできます。
ただし、事業所得と雑所得の区分が難しい場合や、多数の在庫を保有している場合、インボイス制度への対応が必要な場合などは、専門家への相談も検討するとよいでしょう。
最短資産設計ライター・神崎レン
初心者の資産形成と副業導線を最短距離で設計する情報発信ストラテジスト。
副業・資産形成初心者が迷いやすい制度や選択肢を、公的機関の情報と具体的な計算例をもとに整理し、無理のない判断につながる情報を発信しています。
本記事の税務解説は、国税庁のタックスアンサー、申告手続きの案内、財務省の税制改正関連資料などを確認して構成しています。個別の税務判断や税務申告の代理を行うものではありません。
物販は、仕入れる前の判断で結果が変わります。
売れる商品を探すことだけでなく、資金管理、販売先、継続しやすい進め方まで整理することが重要です。物販・転売を含め、自分に合う副業の入口を無料で確認したい方は、ゼロアカのLINEから確認してください。



コメント